当院で可能な検査について
examination
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小児科医が最もよく調べる血液検査の項目の一つに、炎症反応があります。これは、子どもの熱源の大半を占める感染症が、細菌由来か、ウィルス由来かを判断するものです。細菌感染は抗菌薬による治療が期待でき、ウィルス感染は風邪薬等の対症療法により自然軽快することが多く、治療方針が異なります。つまり、炎症反応を調べることで、抗菌薬の適応を判断しています。
40℃を越すような熱でも、ウィルス感染であれば3日間程度の間に解熱傾向となることが多いです。子どもの感染症は圧倒的にウィルス由来が多く、機嫌や飲水がある程度保たれ他の症状が強くなければ、発熱して4日目以降を目安に炎症反応を調べ抗菌薬の適応を判断しています。また当院では原則として、細菌感染の確証のない子どもへの抗菌薬の処方は見合わせています。
近年需要の増している血液検査の項目にアレルギー検査があります。幼少児は治療抵抗性の慢性湿疹の頻度が高く、食物アレルギーが背景にあることがあります。必要に応じて、皮膚のテストや経口負荷試験をご案内することがあります。
検査の項目が少なければ、指先を細い針で刺し、微量の血液を採取するだけで検査が出来る場合もあります。検体量が多い場合は、肘や手の甲の静脈からの採血が必要になります。子どもの血管は細く、動いてしまうとうまく採血できないばかりか非常に危険です。そのような事態が起きる、あるいは想定される場合は、スタッフが採血の間子どもを押さえさせていただきます。採血中は、当院では基本的に保護者の方の同席をご遠慮いただいています。併せてご了解ください。
また、短期的な点滴や静脈路の確保が必要になる場合は、点滴の針から血液を採取し、子どもの痛みを少なくする配慮をしています。
尿検査のほとんどは、本来尿中には存在しない血液や蛋白の成分が尿から検出されないかを調べています。尿中にこれらが混入する病態は多岐にわたり、血液検査やあとで述べる超音波検査を組み合わせて、病気の診断、対応に繋げています。学校検尿での検尿異常にも対応いたします。
感染頻度の高い病原体(細菌、ウィルス)について、子どもの喉や鼻から採取した粘液中に、これらの成分がないかを数分で判定します。特に溶連菌やインフルエンザウィルスへの対応には欠かせない検査です。
身体は、肺のように空気を多く含んだ臓器や、心臓や血管のように血液で満たされた臓器、骨のように非常に硬い組織などが入り混じって構成されています。レントゲンは、放射線(X線)の体内への透過性の差を画像化する検査で、当院では主に肺やお腹の状況を調べるために取り入れています。大きな病院で検討されるCTやMRI検査と違い、放射線の被曝は少なく、鎮静も必要ないため、子どもの負担は少なく安心して受けられる検査です。
レントゲン検査と同じく、病気を見つける上での画像検査の位置付けになります。特に、超音波検査はお腹の病気を見つける上で有力なツールです。レントゲン検査は臓器のX線の透過性の差を画像化する検査ですが、お腹の臓器は腸のガス以外はほぼ同じX線透過性となり、腹痛の原因が見つからないことも多いです。一方で超音波検査は、内臓の超音波の伝搬速度を画像化することで、各臓器の大きさや非生理的なものの把握、血液の流れなどがリアルタイムに評価できます。
検査中はある程度、子どもにじっと動かないでいてもらう必要があります。そのため、子どもに好きな動画を見せながら、上手に検査が受けられるよう配慮しています。各種動画をご用意しておりますので、ご希望があればお申し付けください。
なお、お腹以外にも超音波検査が有力なケースがあります。まずはどんな症状でもお気軽にご相談いただければと思います。